医療事務に就く人のための　病院管理論

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表紙　／　本文

この本は……　（「はじめに」より）

　人がこの世に生きているかぎり、傷病がまったくなくなるということはあり得ません。病院は待っていれば自然に患者が来てくれましたが、今や患者が病院を選ぶ時代になりました。そのため、病院は競争の時代に入ったともいわれています。　

　世の中は時代とともに変化し、その度合いとスピードは速くなっています。医療に関連することでいえば、社会の高齢化、疾病構造の変化などがあり、国民の医療費の増大も深刻な問題になってきました。その一方で、医学・医療の日進月歩は止まることなく進化し続けています。　
　
　また医療機関は、将来に向けて高度先進医療や老人保健施設を行っていくのかどうかを始めとしてさまざまな選択の岐路に立たされています。従来、病院の経営は保険診療制度により守られてきましたが、これからはそう容易ではない状況です。つまり、医療にも量から質を問われるようになってきたのです。　

　医療の末端を支え、国民の健康を守る病院の役割は、まことに大きく重いものがあります。それだけに、今後の病院が社会の変化にどう対応し、いかに適切にその機能を果たしていくべきかを考え、実践していくかということが重要になってきます。それこそ病院が真によりよく変革していくための出発点がそこから始まるからです。したがって、これからの病院は、将来を見通し、現状を的確にとらえて、社会の変化にしっかりと対応していけるような人材がますます求められるのです。　

　本書は、このような視点に立って、病院の管理を「診療の管理」と「経営（事務）の管理」とに分け、特に後者に重点を置いています。専門学校で医療秘書、医療事務を目指して学んでいる学生のテキストとして、またすでに病院事務に従事している人たちが改めて病院を見直し、さらに勉強を深めるための参考書としても利用できます。